マサイに学ぶメタボ克服

マサイに学ぶメタボ克服

メタボ:肥満予防には食生活と運動以外に睡眠も関係している。睡眠が五時間未満だと肥満になる確率が高く、寝不足でも寝過ぎでも糖尿房になりやすいという、睡眠と生活習慣病との関連が最近、報告された。また、厚労省の国民健康・栄養調査では、欠食や外食が多く、ストレスを感じる人ほど睡眠時間が短い傾向にあるという。

二十年前、食の調査に訪れたアフリカ・マサイ族の村では、牛の糞を壁士にして造るボーマとよばれる家に電灯はなかった。日暮れと共に毛布にくるまって寝入り、日の出と共に起き、早朝から牛の乳を搾っていた。このような生活だから充分とれる睡眠中に成長ホルモンがよく出て筋肉質で骨が育ち、脂肪が少ないマサイの理想的な体型ができる。これならメタボの心配は全くない。

マサイ族の紹介映像でよく目にする垂直ジャンプは、その高さで嫁選びの順番が決まるとのことだった。からだには二種の筋があるが、ゆっくり働く「遅筋」に対して、ジャンプで主に鍛えられるのが「速筋」。

これを鍛えるほど生活習慣病のリスクが少なくなるのではというボストン大学のウォルシュ教授の最新報告が、先日出席した日本の学会の特別講演でなされた。日本人が速筋を鍛えるには、広いスペースがなくてもできる縄跳びがよいだろうか。マサイ族と違って嫁選びには役立たないが。

メタボ克服には、マサイ族に学ぶ「早寝、早起き、速筋運動」を提案したい。いのち溢れる春の良い季節、学生や社会人としての新生活をスタートしたときに、よい生活習慣をつけていただきたいと願う。

家森 幸男

  • 投稿日:2024.6.08