突然くる胸や背中に痛み血管破裂
血圧管理が大事です。
七十五歳のTさんは昔から高血圧と糖尿病を指摘されてきた。薬をきちんと飲まないので血圧と血糖のコントロールは悪い。食生活も改善せずたばこもやめられない。
冬のある朝、背中に激痛が走り気分が悪くなり、その後意識もなくなって倒れた。大学病院の救命センターに運び込まれ、CT検査で胸の大動脈が裂ける解離性大動脈瘤(りゅう)と診断された。
大動脈瘤とは背中を走る大動脈が太くなり、こぶ”になった状態だ。動脈瘤は大きくなっても破裂するまでは無症状のことが多い。「解離」とは普通の動脈瘤と異なり動脈の壁が裂ける状態のこと。突然起き、胸の動脈に起きると激しい痛みが胸から肩、背中に走る。大動脈解離では血管が破裂しやすいため発症直後に命を落とすこともある。
原因の多くは動脈硬化で、高血圧や糖尿病、不摂生な生活や喫煙が関係する。破裂と 同時に心筋梗塞(こうそく)、脳梗塞、腸や手足の血流障害を起こすこともある。特効薬なくはなく動脈瘤ができると自然に縮小することはない。血圧をコントロールして
手術で瘤を人工血管に置き換えるかカテーテル治療する。
小さな傷で済むカテーテル治療は血管内手術ともいう。ステントというバネ状の金属を取り付けた人工血管を動脈瘤のある場所に挿は血管入し破裂を防止する。
幸いTさんの動脈瘤は破裂せずカテーテル治療を受けた。約四時間で手術は無事に生な生終了。術後の回復も良く、今は禁煙をし食生活も改善、薬もきちんと飲んで経過は良い。