六、七月の梅雨時には心の病に陥る人が多い。原因は日照不足にあると思われる。その前の四、五月も社会人は人事異動、学生は進級や進学などで環境が大きく変わる。ストレスの大きな時期で、いわゆる五月病が起きる。この時期を乗り切ってもすぐには快適な時期はやってこない。
今年は例年よりも梅雨入りが早い。気象庁は二日に近畿、東海、関東甲倍越でも梅雨入りしたとみられると発表した。
梅雨は日本だけではなく朝鮮半島南部、中国大陸南部、台湾にかけて見られる現象である。
日本の梅雨は六月中旬から七月中旬までのおよそ四十日間にもおよぶ「雨の季節」だ。よく日本は四季のはっきりした国といわれるが、梅雨を入れた五つの季節と考えるべきだろう。
南海上に停滞する梅雨前線の北側に雲が広がり、毎日のように雲りや雨の日が統くのが普通である。六月から七月は太陽が最も日本に近い時期にあたる。梅雨がなければ日照時間が長くなるはずだが、東京の場合六月の日照時間は平均して百二十時間。昼の短い一月の日照時間が百八十時間だから、いかに六月の天気が悪いかがわかる。
健康な人でも、毎日のように雲りや雨の天気が続けば気分が落ち込んでしまう。まして、もともと神経の細い人や敏感な人にはかなりこたえるようで、うつ病や自律神経失調症が増える。
うつ病の治療として最近注目されているのが室内を思い切り明るくする方法で、かなりよい成績を上げている。強制的に光を当てて治すのだが、これが効果をあげること自体、日照不足がうつ満の原因になっていることを示唆している。
健康な人でも、この季節には室内の照明を意識的に明るくする、カーテンの色を明るい色に変えるなどの方法で気分転換を図ってみてはどうだろうか。
梅雨時に限らず、室内の照明不足は目の疲れ、肩こり、頭痛の原因になることもあるので注意が必要である。
(気象業務支援センター専任
主任技師 村山 貢司)