SPRINT試験結果から読み解く厳格降圧の意義
SPRINT試験は、血圧130mmHg台と120mmHg未満(実際の平均血圧は120mmHg台前半)の管理目標の間でその有用性を比較検証した臨床試験です。当初下げ過ぎではないかと危惧された120mmHg未満を目指した管理の方が、むしろ複合心血管イベントを27%有意に抑制していました。特にイベント抑制効果が高かったのが心不全で、その新規発症を38%低下させています。また、左室肥大の発症を46%抑制し、左室肥大の消失を66%増加させています。まさに、120mmHg未満を目指した血圧管理が、心不全stage C、あるいはstage Bへの移行を抑制したといえる結果です。これまで良しとされていた130mmHg台の血圧管理は現代では不十分(黄色信号)、心血管イベントを十分に抑制する(青信号)血圧は120mmHg台、あるいはそれ以下だということを、まずしっかりと知る必要があります。我が国の今後の心不全パンデミックは、血圧120mmHg台の管理が国民にどれぐらい行き渡るか、にかかっているでしょう。