会社員Aさん(30)は五年前から食べ物や水がのどにつかえる感じがするようになった。刺激物や冷たいもの、熱いものを食べたり飲んだりすると、胸に詰まって飲み込めない。徐々に体重も減り、昨年末からは食後に胸の痛みも出るようになった。市民病院を受診、内視鏡検査とバリウム透視の結果、食道アカラシアの疑いがあるといわれ大学病院を紹介された。 食道アカラシアは食道の運動の異常で起こる。食道と胃の境が緩まず食べ物が通らなくなる。まれな病気だが、二十代から四十代に多い。 ほとんどの場合、水も食べもつかえる感じがあり、年が経過するにつれてゆっくりと進行する。残っている食べ物がのどに戻ると、むせやせきが起こる。ひどいと肺炎にもなる。冷たいものを食べたときなど、胸や背中が痛くなることもある。 胃がんや食道がんと区別が必要で、内視鏡やバリウム検査をし、食道アカラシアの疑いがあると食道の圧検査をすることになる。 食道の筋肉の緊張を取る薬を使ったり、バルーン(風船)で狭いところを広げたりして治療する。腹腔(ふくくう) 鏡を使ってごく小さな傷口で安全に手術ができるようになった。術後経過もよ<手術を積極的に実施する医療機関が増えている。 Aさんは大学病院で再度検査を受け、がんのようなものはなく、圧検査で食道アカラシアと診断された。約一週間入院し腹腔鏡手術を受けた。 今では、つかえる感じもなくなり、胸の痛みもなく、体重も元に戻った。